からすのしっぽ

日々のおおまかなことを書いています。

ごちゃごちゃのなかに芽がある

雷雨。強風を伴う。
夜通し降っていた雨が朝を迎えても降り続いている。ときどき雷の重たいうなりが聞こえたが停電になるような事態にはならなかった。それにしても、日ごろ雨にあわないということもあって、この時期の季節を運ぶ雨はうれしいものだなあと感じる。秋から冬にかけての一雨ごとにだんたんと冷えていく雨も以前は好きだった。酷暑から急に冷えるようになってからは身構えるべき対象になってしまったが、それでもうつろうものは嫌いにはならない。

昼過ぎに雨が止んだので散歩へ行く。北西の空は雲が途切れて青空がのぞき太陽が顔を出していた。その光が山肌を照らし葉のない落葉樹を、まるで『これから再生がはじまりますよお、見ていてくださいねえ』とばかり鮮明に映し出していた。水路を流れる水の、川のように滑らかに流れる音と途切れることのない風の音、それから帰宅の号令をかけるカラスちゃんや、まだまだ少数だけれどもカエルちゃんの合唱団、すこしへたくそなホーホケキョ軍団の音が重なって、まるで観劇しているようだった。

傾斜のあるアスファルトから乾いていく。南のほうに見える山々はどんよりと暗く曇っている、まだ降っているようだ。雨のカーテンも見えるし、雨のにおいもある。においはこちらにやってこないから、夕方には西日が差しこむかもしれない。風は北西から吹いてくる……そういえばおとといくらいの夜にキツネちゃんを見たなあ。また会えるかしら。あ、田んぼ。水、張ってる。カエルぴょこぴょこみぴょこぴょこ……きょうのなまだら奈良なままながつお……は、外郎売だっけ。


このちいさなおはな、なんていうんだろう。
へんなの、あんな強い雨に打たれても花びらが落ちていない。いのちっていうのは案外やわじゃないみたいで「自信がない」と一言で片づけようとする行為は、あまりにも自分を馬鹿にしているような気がした。
びくびくする、という感情表現をしてこずに体のなかにしまいこんでいた。しまいこんでいることを見て見ぬふりしていた。ちからをぬいて伸びることを、どうやって体現していこう。

いまはよくわからないけれど、観劇している気分で照らされた山肌に深く息を吐いた。