からすのしっぽ

日々のおおまかなことを書いています。

素手でさわるよろこび

洗濯物をとりこもうと洗濯機のふたを開けたら、ちいさな、小指の爪ほどの大きさの墨色のような黒いくもちゃんがポーンと洗濯槽へ侵入してしまった。さいわい洗濯物に着地したので、洗濯槽の隙間へ進出するまえにつかまえることができた。
ふと、くもちゃんを素手でさわるのは初めてかもしれない。と気づく。いままではどうやってさわったらいいのかわからなくて、厚紙などを使ってそこへ移動してくれるのを待つか、素手でさわることに抵抗はあるけれど軍手越しだったら平気という自分のなかで『これならあんぜん』とよくわからない線引きをしていた。

いま、手のなかに、いるぞ。いるぞお。
という感動が伝わったのか、最初は手のひらであちこち逃げ惑う様子だったくもちゃんが、数秒後には落ち着いていた。えっへん、という顔をしてこちらを見つめてくれたので、ついでに顔を観察させてもらった。「かわいい、おめめしてるなあ」というと、居ついてしまった。が、外へ出て、土の上にかえすと、うれしそうに去った。

こどものころにむしとりをしてこなかった反動か、成人してから『むしとりはかせ』や『むしとりおじさん』といったひとをやけに魅力的に感じてしまう。そういうわけで、ようやくくもちゃんを素手でさわったことはケーキでお祝いするくらいのよろこびのはっけんがある。


くもちゃん。というカテゴリー名しかわからないので、こんど図書館で昆虫図鑑をみてみよう。